無職さん⑦過去の私を責めたい
無職さんと初めて会う事になった。
しかし私たちはお互いの容貌について全く知らない。
こういう時、自分のどんな特徴を言うのが正解なんだろう(;’∀’)
“髪型はセミロングです。似ていると言われる有名人は、女優の北川景子(大嘘)です。”
なんていう伝え方は、出会い系っぽくないか?(知らんけど)
などと悩んでいてふいに気付いた。
あ、車で行くんだったわ(;・∀・)
冷静になって
『私の車は〇〇です。』
と車種と色を告げた。
すると無職さんからも
『ボクの車は△△です。』
と返事があった。
車種を言われても、車については詳しくないのでわからないが、キャンピングカーに改装しているというくらいだからと、勝手にワゴンタイプの車を想像して、それに乗って表れるちょっぴり日焼けした、細マッチョとでも言おうか、ガッチリした男性を想像してしまったのは、私の過剰な妄想力のせいだ。
時を戻せなくとも、あの時の私へ反省を促したい。
無職さん⑥あんなにニュースになったのに…
昨年からあんなにドライブレコーダーがもてはやされていたというのに、私はケチって自分の車に装着していなかった。
しかしこれに至っては、やはり時流に乗っておいた方が正解のようだ。
だがパソコン然り、こういう精密機器というか、めんどくさい設定があったりするものって、ものすご~~~~~く苦手(;´Д`)
もしそれを代わりにやってくれるというのであれば、こんなラッキーなことはない。
そこへ無職さんが
『一緒に見てあげましょうか?』
という申し出。
『ぜひお願いします!』
取り付けてあげましょうか?と言われたわけでもないのに、もう工賃まで浮いた気になってしまった。
何はともあれ、こうして私たちは初対面を果たすことになった。
しかしまさか初対面が、車のパーツ売ってるお店って(;´∀`)
これまでのように男女の出会いを求めた私なら、それだけでなんかガッカリしそうな話だが、今回は”お友達“として紹介してもらったんだし、しかも私が求めていたものを一緒に選んでくれるのだ。
彼氏にしても夫にしても、なんて使えるオトコだ。
『いつにしましょうか?』
という問いに、無職さんは文字通り無職なので、いつでもいいと言ってくれた。
という私もこのコロナ騒動で、すっかり仕事が無くなり、ヒマな事に変わりは無いんだけどさ(;´∀`)
因みにこの時はまだ、緊急事態宣言が出るちょっと前の話で、お互い緊迫感が無かったのだと思う。
それになんだかんだ言って地方都市だ。
いくら「人の姿が激減した渋谷」と報道されたところで、現実味は薄い。
そんなわけで早速翌日会う約束をした。
『ちょうど叔父から呼ばれていて、そちらに行く用事があるんです。
ちょうどよかったんです。』
と、こちらに気を遣わせないことを言うではないか。
なんて出来た大人だ。
無職さん⑤サバイバルに強いオトコ
フミヨちゃんから紹介してもらった無職さんが住む〇〇は、ここ数年関東方面からの移住者が多いいうことで、地元では有名な場所だ。
市内中心部へは車で30分というところだろうか。
喧噪からも離れられて、不便というわけでもなく、なかなかいいところだと思う。
無職さんは日がな一日釣りをするという生活にあこがれていたらしく、釣りを楽しめるように、中古車を買ってキャンプができるように改装したらしい。
DIYでキャキャンピングカーか…。
虫が苦手な私にとって、キャンプなど無縁の世界だが、その一方で、サバイバルに強い男性には密かに憧れている(*’ω’*)
アウトドア→サバイバルに強い→逞しい身体
( ゚д゚)ハッ!
まだ会ったことも無い無職さん(実際に無職)にときめいている場合かって(;´∀`)
と、一人突っ込みを入れるのであった。
あ、そうだ!(・∀・)
“お友達”として、自然に昼間会う方法を思いついた。
『車の中を快適にしてるって事は、ドライブレコーダーの事とかわかりますか?』
こんな事を聞いたのは、ドライブレコーダーに本当に興味があったからだ。
あんなに煽り運転事故について取り沙汰された昨年だったのに、昨年末に買い替えた車、予算をケチったことで、ドライブレコーダーを付けていない。
しかし、最近高速道路で軽めのあおりを受けたことがあり、ドライブレコーダー付けておけば良かったと後悔したのだ。
すると無職さん
『ボクも付けてなくて、年明けに〇〇(車のパーツとか売ってるお店)に行って付けてきました。
良かったら一緒に探しに行きますか?
今なら知識豊富なのでアドバイスできますよ。』
などというではないかΣ(・ω・ノ)ノ!
なんとなんと!
こんな思い通りに進むってある?
やだ、もしかして運命?
↑
単純
無職さん④海で行う趣味ってことは…
フミヨちゃんから紹介してもらった無職さん。
電話番号を登録したらすぐにラインに現れたので、ラインで連絡する事にした。
『こんにちは フミヨちゃんから紹介していただきましたマリコです。
よろしくお願いいたします(^.^)』
あくまでも”友達“として紹介してもらったので、なんと書いていいかわからなかったが、紹介してもらったのは事実なのでそう書いてみた。
挨拶と、フミヨちゃんから紹介してもらった経緯を簡単に告げると、とても感じの良いメッセージが返って来た。
直前でササキさんというコミュ障気味の男性とやり取りしていたため、普通にやり取りができるということがとても素晴らしい事のように感じられる。
まるで顔文字でもついていそうな、感じの良さだ。
それだけで私は少しウキウキした。
思えば最近異性と会うとなると、結婚相手候補としてしか考えられなかったので、こういう風に軽い感じで会える相手がいるのはうれしいことだ。
もしうまくいかなかったら、本当にお友達として付き合えるような人になったらいいな。
私に都合のいいように勝手に未来を描いてみるのであった。
そうそう、フミヨちゃんが言っていた
『海の近くに一軒家を借りている』
という言葉から、日焼けした逞しいサーファー(Kさんとは違う感じのね)を想像してしまいそうになっていたので、その辺りも聞いてみる事にした。
『〇〇(場所名)に住んでいるそうですね。
やはり趣味のためですか?』
と質問してみた。
が、実際は、詳細は書けないが
『そうなんです、釣りが趣味で、とうとう〇〇に一軒家を借りてしまいました。』
というようなことが書かれてあった。
そっちか~~い!!
ホッとしたようなちょっとガッカリしたような(;´∀`)
無職さん③無職である価値
昔から海の近くの一軒家に住むことにあこがれていた、という無職さん。
そんな彼が選んだ場所は、無職さんの実家から遠くなさそうな海沿いの家だった。
そんなに海に憧れがあるなら南の島に住めばいいと思うのだが、やはり地元を離れるのが寂しいのだろうか?
あ、私はまったくそんなこと思わないけど世間一般の感覚としてそうなんしょ(;’∀’)?
しかし肝心な事は、そんな自由奔放な生活を望む無職さんが、出会いを求めているのか?という事だが、フミヨちゃんは言う。
『その辺りのことを聞いたら“独身の友達は欲しいね”ってカッコつけてた(笑)
まあうまくいかなかったら、紹介じゃなくてラッキーだし、うまく行ったらそれまたラッキーって事でどう?』
そう言われて、確かに
“気楽に会えるのは良いかもしれない、最初から勢い込んで来られるよりよほど良いではないか”
と思ったのは確かだ。
気になる”無職”についてだが
『落ち着いたらまたSEの仕事を始めると思うって。
“今度はブラックじゃないところ探してね”って言っておいたけど、まあSEって大概過酷だよね。』
そうなんだ…。
とりあえずいつまでも無職でいるつもりはないこともわかったし、10数年同じ職場で働いて来た人だ。
飽きっぽいとか、協調性が無いとかではなさそうではないか。
一度くらい会ってみる価値はあるというものだ。
あ、ルックス的なこと、ちゃんと聞いてない(;´∀`)
って、そんなこと(贅沢)言える立場かって。
それに、会ってみないと、会うかどうかわからないということは、36年間でいやというほどわかっているのだから(-_-;)
ついでに言うなら、Kさんとは全く合わなかったというのに、肩書に惹かれてしまうという大きなミスを犯してしまったのだから。
この人Kさん
↓
こういう最初から何も持っていない人の方が実は…。
こうして私は無職さんを紹介してもらう事になった。
無職さん②とうとう私が養う立場に?
名付けて無職さんを紹介されたのは、フミヨちゃんが私に同情したからだ。
婚活で憧れの東京まで時間とお金をかけてやってきたのに、出会った相手はモラハラ男だったという悲劇の中にいる私が、あまりにも惨めだったのだろう。
だからと言って、いくらなんでも無職ってのは無いんじゃない?
私が養っていくという事かしら。
髪結いの亭主?(知らない?)
とりあえず話は聞くことにしよう。
無職さんはフミヨちゃんの元同僚で私と同い年だという。
その会社には大学卒業とともにSEとしてずっと勤務したらしいのだが、昨年あまりの激務に体調を崩したことがきっかけで、会社を辞めたのだとか。
わかる気がする。
私も若い頃に比べて疲労の回復が遅くなった。
遅くまでお酒を飲まないし、睡眠が足りないと翌日は仕事にならないので、翌日大切な案件を抱えていたりすると、できるだけ早めに寝るようにしている。
SEはどの業界も過酷だと聞く。
身体を壊すくらいしか、辞めるきっかけがなかったとしても不思議ではない。
しかし、36歳で無職か…。
フミヨちゃんは言う。
『無職さんは仕事が出来るし、なにより同僚からも慕われる人だったから、地元に帰ってもちゃんと生活できると思うんだよね。』
確かにコミュニケーション能力は田舎で生きて行くうえでかなり重要だ。
結婚相手ならなおさら。
『地元に帰って、仕事が決まるまでの間は何してるの?』
私の質問はいたって普通の事だと思うのだが、フミヨちゃんは少し黙った。
『…よくわからないけど、失業保険貰ってゆっくり過ごしてるんじゃないかな。〇県に来る時はぐるっと案内するから必ず連絡してって言ってたから、暇なんだと思う。』
ヒマ…(;´Д`)
いやきっと長年の激務からやっと解放されて、今は命の洗濯をしているに違いない。
『そういえば海の方に一軒家借りて住んでるらしいよ。』
とフミヨちゃんがおもしろそうに言った。
『え、地元が〇県だよね?』
という私にフミヨちゃんが
『そうなんだけど、昔からそういう生活にあこがれていたんだって…』
と答えた時、二人して、なんだか含みのある笑いをしてしまった。
憧れ…。
本当にそういう生活がしたいのなら、もっと南の方の離島に行っちゃえばいいのに。
なんてね(;´∀`)
無職さん①無職って…(;´Д`)
いまだに独身で、彼氏もいない私だが、幸せな事が一つある。
なんだかんだ卑下されたり、同情されたりしながらも、紹介話はちゃんとあるということだ。
紹介される相手のクオリティ(自分のクオリティはさておき)に文句さえ言わなければ、だが。
私は結局、誰かに頼らないと自力で彼氏を見つける事なんてできないのかもしれない。
で、Kさんと別れてしばらくして、フミヨちゃんから連絡があった。
あとから話したいことがあるので、電話していい?と。
フミヨちゃんは、私が恐怖のKさんと出会ったパーティーに一緒に行ってくれた、唯一Kさんの姿を知る人物だったりする。
夜、フミヨちゃんから電話があった。
『Kさんからはあれからもう連絡ない?』
狂気じみたKさんの行動をかなり心配してくれているのだ。
なんと有難い( ;∀;)
『いや~、連絡は無いんだけど、まだ油断できないと思って、連絡先を消せないんだよね~(;´Д`)』
フミヨちゃんは
『あ~めちゃくちゃわかる。
知らない番号で、思わず出ちゃったなんて事になったら困るよね。』
と理解してくれた。
私は仕事柄、登録していない番号からも電話がかかってくるので、「知らない番号には出ない」はできないのだ。
フミヨちゃんは続ける。
『今日電話したのは他でもないんだけどさ、誰か良い人いた?』
イイヒト?
いるわけないではないか(;´Д`)
『いたら真っ先にウキウキして報告してるよ。』
と言う私に、まあそうだよねと納得し
『私の職場に〇市(私が住む地域)出身の人がいたんだけどさ、去年仕事を辞めて、そっちに帰ったんだよね。
今無職だけど、直に就職する予定らしいから、マリコちゃんにどうかと思って。』
無職…。
初めてのパターンだ。