高収入さん54 そこまでクサイのか…。
高収入さんは雨の中やってきた。
「大丈夫ですか?タオル使って下さい。」
今日は朝から、いや昨夜から雨の予報だったというのに、なぜ傘を持っていないのだろう。
そもそも車に置き傘くらいしておけばいいのに(;´Д`)
と心では思いつつ玄関で甲斐甲斐しくお世話をする私。
「ありがとう。」
と口では言うものの、それほど感謝している風でもない高収入さん。
感情表現が乏しいと諦めてはいるが、感謝の言葉や態度は多いに越したことはない。
それだけで頑張れる単純なオンナなのに。
「傘忘れちゃったんですか?」
と問うと
「イギリスにいた頃は誰も傘なんてさしてなかったから、持たないのが習慣になってるね。」
と、真偽不明のイギリス人の習慣を出して、海外生活が長いからというアピールとも取れそうだが、極めて自然に聴こえる言い方で言ったものだから、あっさり
カッコいい♥
と思ってしまう、やはり単純なオンナだ。
うっとりとしている私の前で、雨に濡れた高収入さんが靴を脱ぎ、玄関廊下に足を踏み出し、数歩歩いた時だった、廊下に不思議な跡がついている事に気づいた。
悲鳴を上げそうになったが、それはビショビショの足跡だった。
玄関に脱がれた高収入さんの靴を見ると、ぐっしょりと濡れていた。
あの靴の状態で靴下も脱がず、他人の家に上がって遠慮なく足跡を付けて歩く神経…。
信じられない。
しかし口に出して言えない気の弱い私。
気を取り直して高収入さんが脱いだ靴を揃えようと屈むと
うっ
異様なニオイに一瞬たじろいだ。
ニオイを放っているのは、高収入さんの靴だった…。
高収入さん、ちょっとお口はクサイし、靴(足)もクサイって…二重苦じゃん(;´Д`)
本人より周囲の人達にその苦役はやってくる。
そう言えば靴の中(足)がクサイ人って、初めて会ったかもしれない…。