自転車さん⑫大きなバッグの中身
ふと見ると大荷物をテーブルの下に置いてある。
「すごい荷物ですね。」
すると、ハッと気付いたように自転車さん
「そうだった!コレ、この前◯県のマラソン大会に出てきたから、そのお土産!」
と言ってとても有名な銘菓を取り出した。
「わぁ!甘いもの大好きなんです!嬉しい(*´∀`)」
と受け取った。
甘いものが好きなのは本当だが、12個入りは多い。
その会話で、そう言えばマラソン大会に行くとか言ってたなぁと思い出したり、東京マラソンは一度も抽選に当たったことがないと言っていたりしたことを思い出した。
しかし銘菓を出したくらいではその大荷物は全く影響なく大きな存在感を誇っていた。
「実は前から欲しかった自転車のパーツが入荷したと連絡があったので買ってきたんです。それと、マラソン用のスニーカー、ずいぶん古くなったので。」
かなり誇らしげだった。
自転車さんも高収入さんには敵わないものの、年齢にしてはなかなかの高収入(ややこしい)だが、自転車さんの収入はこうやって消費されているらしいことがわかった。
趣味に時間とお金をつぎ込む男は結婚が遠のくとどこかで聞いたなぁ
この先我が子の行事よりマラソン大会や自転車レースを優先されようものならたまったものではない。
お金だけは確実に入れてくれるならまだ良いが、こうやって欲しいものを制御できない感じを見ると思いやられる。
素朴なだけが取り柄なんだから、頼むよ…。
「そろそろお店開きますね。週末だと開店と同時にお店が埋まるくらい人気なので、そろそろ行きましょう!」
私の口から素朴な疑問が出た。
「予約してないんですか?」