高収入さん⑮ コレは絶対嫉妬
高収入さんの返事に、かなり驚いた。
「そういえば、父親のお下がりよく着てたよ。
今着てるコートも父親のだ。」
40代の高収入さんならまだしも(それでもちょっと…と思うけど)、大学生で父親のお下がり着るってちょっと…ねえ。
仮に若い、或いは若々しい、はたまたオシャレな父親でも、さすがにお下がりを18歳の息子が着るには無理があるのでは?
それに高収入さん、若々しくはないし、オシャレっていう感じでもない。
第一印象から感じていた落ち着き、敢えて言うならば「オッサン感」は、そのせいかもしれない。
「今度洋服選んでよ。」
おおっ、願ってもない申し出。
オシャレに疎い人に限って、妙なこだわりがあって目も当てられないということがあるが、他人に選ばせてくれるって事は、特にこだわりがあるわけでは無さそうだ。
これなら妻(私)によって、高収入さんのオッサン感を多少は改善できそうではないか(゚∀゚)!
コレを機に次の約束ができるのでは?
と一人盛り上がっていたその時、カウンターの中から若くてカワイイ女性スタッフが、高収入さんの水を取り替えた。
高収入さんは彼女に軽くお礼を言った。
その目がなんだかとても嬉しそうな気がしたのは、私の嫉妬心だろうか。
私の視線を感じ取ったのか、それでも全く後ろめたさは感じさせず言った。
「◯◯(ある海外赴任先)の職場にアルバイトに来てくれていた事務の子に似てたよ。
雰囲気でわかるけど、彼女たぶん留学経験があると思う。」
あら、私は下衆の勘繰りをしちゃったのかしら…。
「それってどんな人なんですか?」
「◯◯大学の留学生だよ。」
ああ、だからね…。
ふ~~~~ん…
ふいに沸き起こった私の軽い?嫉妬を無理やり封じることにした。