「彼氏」㉒自分以外)自慢の家族
別れた奥さんへの自慢をいつまでも続けるサクライくん。
現在の彼女に自慢する理由が全く理解出来ないと思っていたが、彼にとってはそんな素晴らしい女性から選ばれたということが過去の栄光なのかもしれない。
もちろん勝手な想像だが、奥さんは29歳という女性としての過渡期で焦っていた時に、たまたま出会ったのがサクライくんで、お互いの利害関係も一致してトントン拍子に結婚して一旦はミッションクリアとなったものの、すぐに早まった!と気付いたので、離婚一直線だった。
ただそれだけなのではないかと思う。
サクライくんの自慢は別れた奥さんだけではなかった。
ライナスの雑巾、もとい、安心毛布を繕ってくれる優しい母親を始め、大手デベロッパーに勤務していたという父親、地方ながら有名国立大学を卒業し、あるスポーツで国体で活躍した経歴を持ち、同じく大手不動産会社に勤務している弟。
部活動の経験がなく三流私立大学卒の自分以外全員自慢の家族のようだった。
聞く限りはどこにでもいる普通の家族のようだが、カタリベの熱い気持ちが登場人物を偉人に変える。
自慢の一部を紹介したい。
サクライくんが今の会社に入れたのは、父親のコネだった。
弟も大手不動産会社に勤務しているが、それも父親のコネ。
強力なコネを発動できる父親は高学歴で高収入。
弟は25歳で結婚してすぐに大きな庭付き一戸建てを手に入れ、学生時代からの貯蓄、両親から生前贈与?として早めに受け取った資金を併せ、30歳にして既にローンを完済しているらしい。
土地の安い地方都市とはいえ、それはすごい。
サクライくんはとても嫉妬深そうだから、そんな優秀な弟がいたら険悪になりそうだが。
恐ろしいことを言った。
「オレは実家貰うから関係ないけどね。」
な、なぬ(-_-;)?