「彼氏」⑧クレームですら無かった。
「は?ナニコレ?
まさか残飯じゃないよね?」
店員さんに直接クレームしたのではない。
去っていく店員さんの背中に向けて、皮肉のように言ったのだ。
聞える音量で。
なんかちょっと…怖いかも(;´д`)
クレームですら無い、ただの悪口って、人間小さいよね。
組み上げ豆腐は特に美味しいものではなかったし、そもそも形を成していなかったので、食が進まなかった。
サクライくんはまだブツブツと文句を言っていた。
それなのに、私の空いたグラスに気付いたサクライくんは笑顔で言った。
「次は何を飲みますか?」
「同じものにします。」
笑顔で答える私。
するとサクライくん、またもや
パンパン👏💥!と手を叩き
目が合ったらしき店員に、自分の空いたグラスを顔の高さまで持ち上げて揺らしてみせたのだ。
なに、これ、なにこれなにこれ~~~~~っ(@_@;)!
サクライくんは飲食店でヒエラルキーを作動させる部類の人のようだ。
ちょっとイヤかも(;´д`)
いや待てマリコ、そんな風に人の欠点ばかり論っていては、いつまでも結婚することなんて出来ないぞ。
私の食事マナーは完璧なのか?
飲食店でお店側に不快感を与える客ではないか?
コレを機会にいつでも自分を俯瞰してみるクセをつけていこうではないか。
食事を済ませ、会計の時にサクライくんが言った。
「今日はお待たせしてしまったので、ボクに払わせてください。」
ええっ!!
これは意外だったのでかなり衝撃だった。
まさか年下の彼が、年収450万円程度の彼が、ごちそうしてくれるなんて思っても見なかったから。
これには高感度急上昇だ( ゚∀゚)!!
一応
「そんな、良いですよ良いですよ!」
「イヤイヤ本当にボクに…。」
という定番のやり取りをして、ごちそうして頂いた。
その後は夜も遅かったので、ちゃんと駅まで送ってくれ、すごいちゃんとしている若者だったのだ。
電車の中では良いことだけが思い出され、さっき見たヒエラルキー発動が、段々記憶の片隅に追いやられていた。
寝る準備をしていたらラインが届いた。
『今日はありがとうございました。
言っていないことがあります。
実は…
あ、なんかヤな予感よ(゚A゚;)ゴクリ