Kさん115恫喝されるほどの事なのか?
『昨日のラインの事だけど、あれは本気?』
もちろん内容は本気なのだが、そう聞かれて「はい」と答えて良いものか。
なんといっても相手はKさんなのだ。
「うん、…あの、書いたことは本当の気持ち。」
ほら、電話なのに言葉がなんか弱気(;´Д`)
『そっか、あのね、思うんだけどこういう別れ話を突然言い出すのってどうかと思うよ。』
ああ、きっとコレは説得の初期段階だ(;´Д`)
『それにボクたちが会ったのはたった数日間だし、それを判断するのはあまりにも早計だと思うんだよ。
いったいマリコちゃんはボクの何を知っているんだろうって悲しくなったよ。
でもボクも同じようにマリコちゃんの事を何も知らないんだ。
もっと知り合っていく時間とお互いを思いやる気持ちが必要なんじゃないかな。』
またしてもまくし立て喋りで言いくるめられそうだ。
「その…きっと私は思いやりが足りなんだと思うんだけど、Kさんが求めていることがどんなことなのかちょっとわからなくて、それでKさんを怒らせてしまうわけだけど、怒られたら萎縮してしまって…」
というのを遮るように
『だからそれは怒られないように考えて行動すれば良い事なんだよ!』
と言いつつ少し口調が強くなったと自分でも感じたのか、声を落として続けた。
『いや、怒っているんじゃないんだ、マリコちゃんが少しでも社会に適応できるように手伝ってあげているんだよ?』
ああ、この恩着せがましさが苦手なのに。
もう言わなければ
「あの、Kさんは怒っているつもりはないかもしれないけど、大きな声で話したり、この前も改札の前で…人前でずっと怒られたり…あ、えっと色々言われたりすると、いくら知らない人たちの前でも恥ずかしいし…。」
全く言いたい事と違う言葉が出て来た(;´Д`)
恥ずかしいとかそんな事より、Kさんのやっていることは恫喝に近いし、私はそんなKさんの事が怖いのだ。
だから別れたいのだ。
『ボクが怒る怒るってずっと言ってるけど、それはマリコちゃんがおかしなことをするからそうなるんだよ。
マリコちゃんは自分のダメなところを直したいと思わないわけ?
マリコちゃんは自分の事をおかしいと思わないって事?』
私は確かにちょっと変わっているかもしれないが、だからと言って彼氏から恫喝されるほどのおかしさではないと思っている。
自分で言うのもなんだが、なんなら”個性“程度のおかしさで、わかりやすく言うなら“キャラ”とも変換できる。
「…だから、あの、私がおかしいというけれど、私はそんなに自分の事おかしいと思っていないし、私たちは怒る基準が違うと思っていて、私ならKさんが待ち合わせ場所を間違えたって、電話でやり取りしたり出来るから、怒る事は無いと思う。」
Kさんは私の必死の抵抗に少しだけ慌てた様子を見せた。