東京⑨キスをする時の顔って…
飲みすぎて悪酔いし、気を許してしまった私が悪いのだ。
気がつくとMさんの顔が近付いていた。
更に信じられない事にMさんは口をタコのように尖らせていた。
なんかタイトルを思い出せないんだけどさ、アメリカのコメディドラマみたいだよ。
こんなふうにキスをしようとする人って、初めて見たかも(@_@;)
き、キモチワルイ~~~~っ(;´Д`)!!
キモチワルイ顔が近付いてきた事で少し冷静になることが出来た。
「もう大丈夫!」
私はシャキーンとソファに立ち上がり、歌うことにした。
「うたっちゃお!
SPEEDってMさんの世代じゃありませんか(;゚∀゚)=3
ひとえちゃんってなにしているのかな。」
と話をふると、Mさんは笑って言った。
「ボクはぁ、あんまり邦楽聴いてなかったかなぁ^^
社会人になってカラオケ行かないとならないから慌てて勉強した感じぃ。」
Mさんには全く魅力を感じないが、とにかく気前がいい事と優しいのと、この部屋があまりにも明るくて、つい油断してしまった私が良くなかった。
もう大丈夫!
冷静なうちにさっさとホテルに帰らなくちゃ(-_-;)
それなのにMさんは
「もう一軒飲みに行くぅ?」
などと誘ってきた。
「うーん、飲み過ぎちゃったからそろそろ部屋に帰って寝ちゃいます。」
と逃げることにした。
「ホテルまで送って行くよ~ぅ」
と言われ、いやいやと断ったのだが
「ダメダメぇ、女の子が夜中に一人で歩いちゃ危ないでしょぉ、もう。」
と、女の子扱いしてくれたことには感謝するが、Mさんの方がよほど女子っぽいし、さっきのタコのような口元が浮かんで来たからもうダメだ。
「いや、本当に本当に(;´Д`)」
とやっていたが、結局Mさんが私の荷物を持ち歩き出した。