東京⑤芝居がかった人々
Mさんと約束をした日、Mさんが行きつけだというオススメのお店に連れてきてくれた。
そのお店は小料理屋…には届かない感じの
普通の居酒屋だった。
いや、別に居酒屋はむしろ好きなのだが、勝手にオシャレなお店だと妄想しちゃったから(-ω-;)
どうやらこのお店は日本各地の地酒を扱っているそうで、ずらりと棚に並んだ銘柄から好きなものを選んで良いという。
私がお酒好きだとラインでやり通したから選んでくれたのかもしれないと思うことにした。
カウンターに並んで座ったところ、女将さん的な人が小鉢を置きながらニヤリと
「あら、Mさんが女性を連れてくるなんて珍しいこと。」
と、まるで古いドラマのワンシーンのような事を取って付けたように言うので、こちらも微笑もうとして、なんだかヒクヒクと頬が引きつった。
Mさんも照れたように笑いながら言った。
「女将さん、もっと言ってよ。」
そしてMさんは私にも
「おかみさんの料理は全部美味しいんだよぅ。好きなものを食べてね♪」
とニコッとした。
そうだわ、気を取り直して食べ物食べ物^^
と壁に書かれたお品書きを眺め、何品か注文した。
が、運ばれてきた料理を見て愕然とした。
どれもこれもお腹を空かせて臨んだ私の胃袋を満たすようなものは無いのだ(;´Д`)
全部小鉢や小皿にちょっぴり上品に盛られ、一口で食べ終える自信がある物ばかりだ。
どういうことだ?
都会の人々はこんなちょっとしか食べないということか?
それに、私が気にする事では無いかもしれないが一品一品が高い。
こんな居酒屋如きで...。
いくらMさんが高収入だからって、いつもこんな所で飲み食いしていたら散財しちゃうじゃん(*_*;
などと、図々しくも心配になる、他人のお財布事情。