東京⑪尻軽オンナ
翌朝は二日酔いで目が覚めた。
とりあえず1回吐いとこ。
ゲロゲロっと(;´Д`)
すっきりしないし頭も痛い。
仕事じゃないから良いようなものの、何よりチェックアウトの時間が迫っているのだ。
這うようにフロント階に降り、なんとかチェックアウトの手続きをする青い顔の私に怪しさでも感じたのか、フロント係の若い女性がそっと声をかけてくれた。
「お客様、あちらのソファ、お休み頂いても構いませんよ。」
そこはビジネスホテルにありがちな朝食コーナー…の片隅に置かれた小さめのソファだった。
弱り果てていたからか、その優しさが嬉しくて涙が出て来た。
結局Mさんはさ、付き合ってもいない私にキスしようとしたって事はさ、私はキスをしても良い相手だと思われたって事で、それはつまり
尻軽だと思われたって事だよ(´д`)
或いは焦りがにじみ出ていたのかな。
気が付くとソファに横たわったまま、眠っていた! なんと1時間も。
やべえ(;´Д`)
なんつー恥ずかしいことを。
優しくしてくれたフロント女性にも迷惑をかけかねない。
フロントの方を見やると、さっきの女性がまだフロントに立っていた。
しかも一人で立っている。
そうだ! 良いことを思いついた。
「すみません、受け取ってはいけないんだろうと思うのですが、これ良かったら...こっそりどうぞ。」
と、聘珍樓の『極上まん』を渡した。
するとフロント女性は満面の笑みで
「良いんですか?嬉しいです!こんなの初めて食べます!」
私も食べた事無いよ。
「すぐに冷蔵庫に入れて下さいね。」
受け取ってくれて本当に良かったし、喜んでくれて良かった。
これぞ人の褌で相撲(゜∀゜;)