自転車さん⑮どちらが払うか問題
料理は確かに美味しかった。
だが困ったことに、箸が進まない。
やはり料理は”目“でも食べているのだ。
あまりに汚い環境では美味しさも半減するというもの。
一方自転車さんはたくさん食べるしたくさん飲む。
スポーツをする人というのは得てしてそんなものかもしれないが、そんな姿をなぜか単純にとても頼もしいと感じてしまう私がいた。
「面白い容れ物」の中に焼酎がほぼなくなったことを確認して自転車さんが言った。
「お代わりしてもいいですか?」
「あ、どうぞ。」
私は翌日の事を考えるとこれ以上は飲めないが、飲める人は好きに飲んだら良いと思う。
それに、どうせ自転車さんが払うのだから。
ん?
あれ?
違ったりして(-_-;)?
食事はキレイに平らげ
「まだ食べれるけど我慢しよう!」
という自転車さん。
いざお会計という時、店員が自転車さんに差し出した伝票に記載された数字は
5,780円
だった。
ハッキリと見えた。
あれだけお酒を飲んでこの価格とは、自転車さんが言った『美味しくて安い店』は本当だったようだ。
お店を出たところで、正直ほとんど自転車さんが食べて飲んでいるし私よりはるかに高収入なのだから、まさか受け取るとは思っていないのだが、お約束の
「おいくらですか^^?」
と心にもないことを口にしてみた。
自転車さんがちょっと迷っていたので
「3,000円で足りますか?」
と、お札を三枚出すふりをしてみた。
自転車さんの返事に驚くことになる。