自転車さん⑭その服、ヤバイです(;゚∀゚)
自転車さんのスタジャンの背中を見て、引き過ぎてめまいがした(@_@;)
その背中には、大学名と部活の名前が英語で書かれていたのだ。
収穫は彼の卒業校がなかなかの大学だとわかった事くらいだが、そんな事評価の上昇には繋がらないほどショックだった。
だがこんなところで
「そのスタジャンが嫌だから帰ります!」
など社会人としてどうかしていると思うので、私も急いで荷物をまとめてコーヒーショップを出た。
「お店ここなんです。」
自転車さんはそう言うと、コーヒーショップと道を挟んで向かいのビル…の奥を指さしている。
あった…。
そこには昨日ホームページで見た以上に荒い、ボロボロの看板が掲げられ、開店前だというのに数組が行列を作っていた。
ここで開店まで待たねばならないということだ(;´Д`)
並んでいる人々はグループごとに会話をしているのだが、みんな私達のように昨日今日知り合った仲という感じではない。
楽しそうな彼らの笑い声を聞きながら、自転車さんのスタジャンを見て笑っているのではないか?などという被害妄想に苛まれながら開店を待つのであった。
ほどなくしてお店は開いて、通されたのはカウンター席。
自転車さんは脱いだスタジャンの背が見えるように、後方の壁に設置されたハンガーに掛けた。
あ~ぁ(-_-;)
さて、座らなくても薄汚れたカウンターテーブルや、眼の前に置かれた、油脂の飛び散ったティッシュの箱が目に入ってきたぞ。
今日のスーツとコートはクリーニングに出そうと決めた瞬間だった。
自転車さんはさっさと座って、これまたベトベト感のあるお酒のメニューを真剣に見ながら
「お酒はどうしますか?」
「ここは焼酎が美味しいんですよ。しかも面白い容れ物で来るんです。」
と重ねて言うのでそれを頼んで欲しいのだろうと察した。
「食べ物は勝手に注文しますね。」
注文のルールがあるらしく、自転車さんが適当に頼んでくれた。
もう何でも勝手にやってくれたら良い(-_-;)
思えばさっきのコーヒーショップで彼の姿を見た時から戦闘意欲は削げていたのだ。
勝手にやってくれても何も思わない。
すぐに焼酎が『面白い容れ物』に入ってやってきた。
その面白い容れ物について特に面白いとは思わなかったが、コミュ力高めの私はちゃんと笑っておいた。
最初こそイライラしていた私だが
「お疲れ様です!」
と笑顔でグラスを掲げる自転車さんを見ていると、こんな汚いお店も飾らなくて(たまには)良いかな?などと考えていた。