高収入さん㉛ 嫌われる未来が予感できる
さあ、私オススメの美味しいイタリアンのお店に到着した。
田舎に突然現れた、場違いのお店に高収入さんも感心したように
「へえ…すごい雰囲気が良いね。」
と言ったことで、私の気分はどんどん上がって行った。
オシャレなスタッフに案内されて席についたのだが、改めて観察するとこの店は、これまたオシャレなスタッフが多く働いている。
なぜこんな田舎にこんなオシャレな人々が集まるのかが不思議でならない。
数人に関して言えば、客が気後れしそうな美男美女だ(;´Д`)
同じ地域の人がいれば語り合いたくらい。
(もしかしたらわかるかも)
それは置いといて…
さて、席は水槽の側だった。
あまり熱帯魚は好きではないこともあるが、魚を見ずに高収入さんの方を見ていると、あらあら不思議、水槽の青い光に照らされて、大好きな高収入さんの顔のシワがとても深く見えるではないか。
あぁ、40代なんだなぁと改めて感じたりして(;´Д`)
つまり高収入さんからみた私も同じ状況だろうと気づき、少し水槽から離れてみたりして(´ε`;)
「どれにしようかな~♪」
私の憂慮など関係なく、高収入さんはここでも嬉しそうにメニューを見ている。
さっきはシワが気になったが、こんな姿を見ると“40代のオッサンなのにかわいらしい”と感じるのはもちろん私が高収入さんに大いなる好感を持っているからだろう。
メニューに夢中になっていた高収入さんはふいに顔を上げていった。
「コースにしたら食べられないかな?」
「そうですね…ちょっと厳しいかも(;´∀`)」
「じゃあパスタとピザとお肉でどう?」
と言ってくれたので、私オススメのトマトとモッツァレラチーズのパスタは必須として、ピザとお肉を選ぶ高収入さん。
「ピザはマルゲリータが好きなんだけど、パスタとかぶるから、アンチョビガーリックっていうのでどう?珍しいし。」
ニンニクか…(-_-;)避けたいところだが
「いいですね^^!」
と笑顔で言ってしまう私が憎い。
「お肉は何が良い?」
本当は牛肉が食べたいのだが、高収入さんはどうだろう?
「牛肉…う~ん、豚肉…どっちだろう?高収入さんにおまかせします!」
「ふ~ん…じゃあ牛肉かな。」
なんだ、当たりだったんだ、言えば良かった(;´∀`)
私の良くないところなのだが、せっかく付き合っても相手に気を遣いすぎて自分の意見を押し殺し、喜ばせようとする言動が空回りして、なんだかギクシャクしてフラれてしまうのだ。
一度や二度ではない。
このままでは暗黒の未来が待っている…。