無職さん⑩ガッカリしている場合か!
無職さんの車は軽だった。
同じ境遇なら共感してくれる人も多いと思うが、私のような田舎者の価値観として、車はまだまだある種のステータスだ。
軽ということはそれなりの収入なのかと想像してしまう。
いや、そりゃ無職だから無収入なんだけどさ(;´∀`)
それでもやはり東京で長年働いていたと聞くと、貯蓄もちゃんとあるのかなって…そんな希望を抱いていたから。
なんとも無職さんに失礼な話だ(-_-;)
車を見てガッカリしたのを悟られないように、いつもの得意の笑顔で車から降りた。
無職さんも車から降りてきて、私の近くに立ったのだが、ここでまだ勝手にガッカリすることになった。
ニッコリと笑顔で立つ無職さんは、華奢な身体に、さらにぶかぶかのパンツと、ちょっと懐かしいデザインのゆるいタートルっぽいトップスを着ていた。
決してものすごくオシャレな人を想像していたわけではないのだが、これまた“東京で長年暮らしていたのだから”という理由で、少なくともダサいかっこはしていないと…希望していた。
勝手に期待して、勝手にガッカリして、本当に無職さんに対して失礼極まりない(-_-;)
気を取り直して挨拶をした。
「はじめまして~。なんだかご無理を言って申し訳ありません^^」
無職さんはとても感じよく
「いやいや、本当に用事があったのでよかったです。
じゃあ、早速見に行きますか?」
と、お店の中に促された。
なんと感じのいい人だ。
こんな感じのいい人に対して、行き遅れたババアが身の程をわきまえずに勝手にガッカリして。
思い出せマリコ、田舎では男女の適齢期が自分の想像以上にかけ離れているということを。