ササキさん⑨実家を出たことが無いオトコ
なぜ親しくするのか
ササキさんはあまり喋らないというか、会話が得意な人ではなさそうだ。
私だって緊張すると言葉が少なくなる。
私ごときに緊張するとは思えないが、視線もあまり合わないので、人と対面すること自体が苦手なのかもしれない。
質問はあまりたくさん盛り込まない方が良いだろう。
よし、一問一答だ。
私「オーナーとは親しいんですか?」
ササキ「いえ、特に親しいというわけでは…何度か飲みに誘ってもらいましたけど。」
オーナーは客商売なだけあって、業者さんともコミュニケーションを怠らないというわけか。
一人納得した。
思わず声を出してしまったこと
私「家業を継がれたと伺いましたけど。」
ササキ「いや…継いだのは名前だけです。両親がいないと何もできません。」
冗談か謙遜かと思ったが、結構な真顔だった。
何もできない…かあ。
私「親御さんと仲が良いんですね。」
ササキ「仲が良いというか…24時間一緒なので。」
24時間?
あ、一緒に暮らしているってことね、仲良し家族なのね(;´∀`)
私「お住まいはどの辺りですか?」
ササキ「〇〇です。」
ササキさんが口にした場所は、同じ県内でも中心部からかなり離れた地方だった。
まさかと思うが、結婚してもそこから出るつもりは無いのだろうか。
私「家を出られたことは無いんですか?」
ササキ「いや~二世帯住宅建てちゃったんで。」
私「えっ!」
驚いて、つい声に出してしまったではないか。